自分たちが使いたい、あるいは提供したいシステムは、いつの時代も開発作業がつきものです。
さまざまなサービスが続々と提供され続けるでしょうが、それで全てのニーズは満たされないでしょう。
画面上の配置やボタンを押したときの動作などちょっとした違いのために、不便を強いられることもあるでしょう。
システムを開発するために業者に依頼したものの、思った通りのシステムが得られないという問題は長年の懸案です。
問題の根本は、システム利用者が開発に関わっていないからです。
難しい技術を駆使し、開発用言語でプログラムをしっかり作る作業は、その道のプロでも大変な作業です。
その結果、システム利用者が手を出せなくなるのは当然かもしれません。
INTER-Mediatorはその仕組みを大きく変えようとしています。
INTER-Mediatorで作り上げるWebシステムの骨格はデータベースと連動したHTMLと設定ファイルで作成できます。
開発言語で作り上げるシステムとは異なり、抽象化した設計を元に開発をする工程は最小限に限られます。最終的にどんな役割を果たすページを作りたいのかといったページ設計を基礎とします。
基本的なニーズを具体化するためのページ作成であれば、学習コストはそれほど高くありません。
複雑な要求、洗練されたユーザーエクスペリエンスをシステムに込めるには、もちろん、プロの助けは必要でしょう。
INTER-Mediatorは「簡単に作れる」側面と、「機能をしっかり作り込める」側面の両方を持ちます。
ユーザーは要求をHTMLコードなどを記述することによって視覚化し、プロの開発者はそれをスムーズに動くようにします。
ユーザーが主体的に開発に参加できる枠組みを支援するフレームワークがINTER-Mediatorです。
開発作業が簡単であるがゆえに、できることが限られるのではないかと思われるかもしれません。
INTER-Mediatorは、ソフトウェアの再利用を、いわゆるオブジェクト指向の手法を使わずに実現しています。
すでに作られたWebアプリ用のソフトウェアがINTER-Mediatorに組み込まれており、それを使い回す点では他のフレームワークと変わりません。
INTER-Mediatorは、HTMLを中心とした世界の中で、独自の考え方で再利用を実現し、拡張性を提供しています。
少ない記述でシステムが組み上がるので、その仕組みに精通すれば開発時間はどんどん短くなることが期待できます。
余った時間はどうしましょう? 安く買い叩かれるだけでしょうか?
開発作業時間が節約できたら、その時間を使って、システム利用者ともっと対話を持ちましょう。
また、システム利用者を巻き込むテストにより多くの時間をかけるのも良いでしょう。
より良いシステムを作り、利用者の満足度が高いシステムを作るための時間が確保されたと考えましょう。
プログラムをバリバリと書くことが開発と認識している開発者には、残念ながらINTER-Mediatorは無意味なものとしか見えないかもしれません。
その方々の仕事ぶりを否定するものではありませんが、開発言語でのプログラムに重きを置くのが果たして利用者ニーズに応えているのかどうかは考えていただく必要があります。
現在の開発の世界は、かなり大量のコードを書かないとシステムが完成しない事情もあり、システム利用者のニーズを実現するためには極めて高い技術レベルを要求されます。
システム開発=プログラミングという考え方は間違いではありませんが、プログラミング以外にすべきことは沢山あり、INTER-Mediatorはその比重が違うのです。
INTER-Mediatorの開発でも情報の処理、データの分析、ワークフローに沿った業務処理などをこなすためにはバリバリとプログラムを書く必要も出てきますので、プログラミングが得意な開発者の方も自分の世界を見つめ直してゲームチェンジを試みていただきたいと考えます。
INTER-Mediatorは、ノンプログラミングツールではありません。少なくともHTMLのコードは書く必要があります。
ノンプログラミングというバズワードは不正確なキャッチフレーズです。多くの「ノンプログラミング製品」は、開発言語でのプログラミングがないことを言っているに過ぎません。
たとえツールで設定を進めるようなものでも、構築のためのステップが必要であるなら、広い意味で「プログラミング」が必要であるということになります。
したがって、INTER-Mediatorは、あえてノンプログラミングを標榜していません。
開発におけるツールの重要性は言うまでもありません。INTER-Mediatorには単純なツールしか組み込まれていません。
消極的な意味では、限られた開発リソースをツールのために費やすよりも、コア部分の動作に注力しているからです。
また、ツールはビジネス展開との連動が強い材料とも言えます。
INTER-Mediatorでビジネスを進めたいという方が出てくれば、ターゲットに合わせたツールを作るのが最適であると考えます。
そうした方々への支援は惜しまないつもりでもいます。
INTER-Mediator Directive Committeeは、コア部分の方針を管理し、そして実際に作り込むことに注力しています。
INTER-Mediatorが考えるシステム開発への貢献を明文化するために、マニフェストを作成しました。
2017-08-25
INTER-Mediator Directive Committee代表 新居雅行